沖縄に行けば、そこかしこで見ることが出来る、珍しいものではありません。
沖縄だけではなく、東南アジアを見渡すと、台湾や香港、シンガポールなど、結構あちこちにあるらしいですが、ルーツである中国ではもう見られることが無いと言うのは不思議ですね。
灯台下暗しとはこの事、そんな石敢當が大阪にもあるとのことで大阪の石敢當を始め各地の石敢當を今回は紹介します。
石敢當の意味 読み方
石敢當と書いて「いしがんとう」と読みます。
私が沖縄で教えて貰った読み方は「いしがんとう」ですが「せっかんとう」と読んだりもするそうで、漢字で書けば、石敢当、泰山石敢當、石敢東、石散當、石散堂、石厳當、色々な漢字をあてるらしいですが「石敢當(いしがんとう)」と覚えて置けば、大丈夫、注意されることはありません。
中国の福建省から沖縄には伝わったそうで、道路の突き当りや曲がり角に「石敢當」と書かれた石碑を置いて、魔除けとする信仰です。
魔物は地面を這ってくると言われ、石敢當にぶつかって砕け散るか、横に逸れて退散するというわけで、沖縄では今も石敢當は大事にされています。
古い石敢當ほど、こうして味わい深く鎮座しています。
沖縄に通い始めた20年数年ほども前に、アウトドアの師匠にこの石敢當のことを教えてもらい、一時はこの石敢當を、彼の地に出かける度に撮りまくっていて、それこそ何百という石敢當の画像が今も手元にあり、私の中ではシーサーや赤瓦と同じく「沖縄の風景」としてすっかり刷り込まれています。
地面に近い場所に設置するのが設置のルール。魔物は地を這ってやってくるからです。
今では、シーサーなどと一緒に土産物屋でシールから小さな置き物など色んなタイプの石敢當が売っているので、南の島かぶれな私も、もちろん自宅前の角に鎮座しています。
全国各地にある石敢當
大阪にある、日本一のリトル沖縄、大正区で石敢當は見たことがあって、何の違和感も感じなかったのは、大正 = 沖縄が強く刷り込まれているからでしょうか。
沖縄よりも北、全国各地に点在する石敢當は、殆どが沖縄に縁のある者が置いたものだそうです。
自分のルーツである、思い入れのある沖縄の地で大事にしていた風習を持ち込んだからということで、置かれたのは間違い無いでしょう。
沖縄出身の方が、子供の頃から慣れ親しみ眺めていた石敢當を、苦労して頑張って建てた自宅に置くのは、ごく自然なことだと思います。
下で紹介する住吉大社や御津八幡宮の石敢當も、大阪に出てきて、事業で成功された方が、立派な石敢當の碑を、境内に奉納したんだろうと思います。
住吉大社の石敢當
そんな石敢當が、毎月お参りする、住吉大社にあったのですから心底驚きました。
もう10年近くにもなりますが、毎月手を合わしている、身近な神社に石敢當があるなんて、何度も横を通っているにも関わらず、まったく気が付けませんでした。
初辰さん詣りの時は、この場所には出店が並ぶので、見つけずらかったという話ですが、人の見ている物って節穴だらけだという話です。
西側の、一の鳥居をくぐったすぐ右側にあります。
>>> 住吉大社の初辰さん詣り
そして、知らないことは幾らでもあるものです。
ちょっと待てよ、とふと思い、既に書いた通り、石敢當は沖縄だけにあるものではなく、沖縄を中心とした島々、鹿児島にも沢山あり、沖縄に縁のある人たちが全国に置いています。実際に大阪にもこうして、何箇所かにあるのです。
何よりも、ひっくり返るほどびっくりしたのが、私の故郷である奄美大島にも石敢當は幾つもある、もっというと、私が暮らした加計呂麻の諸鈍の集落内にも何基かの石敢當があるということ。
思いもよらずとはこのことです、次回、帰省した折には、必ずその姿を見に行き、画像に収めたいと思います。
アメリカ村 御津八幡宮の石敢當
画像は、大阪随一の繁華街、ミナミのアメリカ村のど真ん中、御津八幡宮の境内にある石敢當です。南側の鳥居をくぐってすぐ左手の古井戸?の前にひっそりとあります。
特に若い頃は、すぐ近くにあったライブハウスに入り浸って遊んでましたから、御津八幡宮の境内には良く入り込んでましたが、ここもまた住吉大社と同じく言われなければ気が付かない、まさに灯台下暗しです。
奄美大島の石敢當
こちら、私の故郷、奄美大島の石敢當です。島の友人に石敢當のことを訪ねたら、探し出してくれた様子で、数日後に画像が送られてきました。
龍郷町の県道沿いにあるらしく、画像を見た限りでは、最近設置されたものじゃないかと思います。
それにしても、奄美で長く暮らした私がまったく聞いたことが無い、気付かなかったということは、石敢當という風習は、奄美ではそれほど根付かなかったんじゃないかとも考えられます。
奄美には、沖縄からやってきて暮らす様になった人も少なく無いので、石敢當は彼らが置いたというのは間違い無いでしょう。
今回も、石敢當のことを、奄美に暮らす親戚や友人、何名かに訪ねたものの、二人に一人ぐらいしか聞いたことがあるという答えは貰えず、何処にあるかという場所の話になれば、○○にあるね、という答えは一人も貰えませんでした。
喜界島の石敢當
奄美諸島の中でも、群を抜いて石敢當を多く見ることが出来るのが喜界島だとのこと。
喜界島へは、奄美で暮らしていた高校生の頃に一度行ったことがあるだけで、喜界には沢山石敢當があったな、などと覚えて居るはずもないことです。
喜界島出身の三線仲間に訪ねたところ、「うちの家のブロック塀にもあった」と。
どうやら、喜界島には石敢當文化が広く伝わっていたのかもしれません。
鹿児島の石敢當
鹿児島の市内にも探せば結構な数の石敢當を見つけることが出来ます。特に郊外に多いかも知れないとは鹿児島の友人談。
大阪などにある石敢當と違って、鹿児島の地では、沖縄からの移住者も多いために石敢當信仰が根付いたのでしょう、こんな風に三ツ辻にある商業施設に大きなものが置かれていたりするのを見かけます。