広島へ行ったら何が食べたい?
と聞かれたら、やっぱりお好み焼きは外せないメニューの一つなのでは無いかと思うのです。
大阪とお好み焼きのイメージはもはや誰もが知るセット、広島とお好み焼きの印象もかなり強いと思います。
今回、ゆっくりと広島に滞在して感じた広島のお好み焼きを紹介したいと思います。
目次
広島焼きという呼び方について
「広島焼き」という呼び方は、我々、大阪人は広島のお好み焼きということで、当たり前に使っている言葉です。
ところが広島の友人たちに言わせると、それは勝手に県外の人が呼び始めた言葉であって、あくまでも「お好み焼き」だと、頑なに主張します。
広島焼きというのであれば、大阪焼きと呼べ、という話にはちょっと頷けます。
粉物を語ると関西のお好み焼きに広島のお好み焼き、東京のもんじゃ焼きなど、今では日本中何処ででも、食べることの出来るのがお好み焼き、確かにそうかもしれませんね。
お好み焼きのルーツ
お好み焼きは戦後「一銭洋食」という駄菓子屋のおやつが広がった、という説がリアリティがあって、本当じゃないでしょうか。
小麦粉を水で溶いてネギなどと一緒に焼いてソースを付けて食べたというものです。
その後にキャベツでかさ増しをして、更に色んな具材が加わり、現在のお好み焼きが出来上がったといわれます。
他の地域にあるのかは判りませんが、大阪では夜店などではおなじみの小麦粉と玉子の生地にイカ乗せて焼いたイカ焼きはメジャーです。
イカ焼きなどは一銭洋食がそのまま残ったおやつなのは間違いないでしょう
仕事で足繁く通った、大阪の岸和田の地には、今もお好み焼きの元だと思われる「かしみん焼き」を食べさせる店があります。
「かしみん」と言うのは、かしわ(鶏)と牛脂のミンチをトッピングして焼いたもので、なかなか美味しいものです。
岸和田には「からやき」と呼ばれる小麦粉を溶いたものもあって、これなどは生地とネギと紅生姜だけです。(画像は居酒屋にあったからやき)
もんじゃ焼きといえば関東のイメージがありますが、関西の地にも、もんじゃ焼きと似ている「どろ焼き」があります。
私の連れ合いは四国の香川県の者なのですが、小麦粉を溶いて食べた「ほっぽら焼き」なるおやつを、バアさんに良く食べさせて貰ったといいます。
探せば各地に、もっともっとお好み焼きのルーツだと思われる食べ物は沢山あるのではないかと思うのです。
今回、広島では面白い話が聞けたのですが、岸和田の「からやき」などは、子供の頃は家から玉子を冷蔵庫から拝借して持っていくと、タダで一緒に焼いてもらえ、ワンランク上のおやつになったそうです。
そして、広島の地でも、子供の頃は、玉子を持っていってお好み焼きに入れて焼いて貰ったりしたそう。
大阪と広島、同じ様なことをしていたという話で、離れたこの土地が密接に繋がりがあったとか考えられないですから、人間、誰も考えることは同じだということですよね。
大阪と広島、それぞれにお好み焼きは今日の様に広まって行ったのだと考えるのが自然な流れでしょう。
広島おこのみ焼きの特徴
アメリカ軍から支給された小麦粉を水で溶いて焼いた中に、広島の地野菜の一つである、観音ネギを入れて焼いたのが広島焼きのルーツだと、広島のお好み焼きの店主に聞きました。
高価なネギに変わって、お腹いっぱい食べるためにと、安くて食べごたえのあるキャベツが登場し、うどんや中華麺が加わります。
更に、海鮮や肉など好きなトッピングを混ぜる様になって、ボリューム満点の広島のお好み焼きが出来たのです。
私は好きじゃありませんが、チーズを山盛り入れたものなど、大阪のお好み焼きと同じく、広島のお好み焼きも今は何でもありです。
広島のお好み焼きの一番の特徴は、キャベツと生地が別々なところでしょう。
生地を薄く焼いた上にキャベツに具、麺を重ねて焼き上げます。
焼き重ねという言葉を聞いたのですが、正にその通り、半分に切った時の切り口が正に焼き重ね、美しいです。
今回の広島で気が付きましたが、キャベツの切り方も違いますね。広島のお好み焼きは、キャベツの切り方が長いなと思います。
そして、こだわりのソース。
大阪も「地ソース」が今でも結構ある土地なのですが、後で紹介する、広島のソースの拘りもかなりのもんです。
大阪よりも広島の方がよっぽどお好み焼き文化は根付いているなと、お好み焼きと言えば大阪と思っていた私などは、敗北感さえ感じたのでした。
地元民と行く広島のおこのみ焼き
ある日のランチの話、
「何?お好み焼き食べたいの?」
と私のリクエストで連れて行ってもらったのが住宅地の中にあるお好み焼き屋。
駅の周りや観光地を歩いていると気が付きませんでしたが、住居エリアにも、お好み焼き屋が沢山あります。
お好み焼き密度は大阪よりも上、負けた感をたっぷり感じました 笑
お好み焼き まる
今回は「まる」という店に連れて行ってもらいました。
違いがあるのか?というと、後でも書きますが、街のお好み焼きは駅前などのお好み焼きと違って、メニューが豊富。
例えば、注文する際には、
「肉玉をそば、トッピングはシソで」
「こちらは肉玉、イカ天のうどんで」
「海鮮をうどんダブルで」
「野菜肉玉をソバとうどんをハーフで、トッピングは要らない」
こんな感じで各自が好みのお好み焼きを想像して注文します。
そして店員さんは手早くメモを取って鉄板の前の店員に指示を出します。
駅前にあるビルの中の店では、メニューにあるものを注文して、トッピングはせいぜい麺をシングルかダブルを指定する程度です。
当たり前に考えて、沢山のお客に細かい注文に対応するのって、面倒ですからそうなってしまうでしょう。
私達のように観光客がメインのお客だと、そもそもよく判らないので細かい注文は出来ないでしょうし。
そして、こんなポスターみると、麺好きとしてはソバを注文するしかありません。
聞けば、
「そこそこ(そこそこの意味がわかりませんが)の店では必ず使う麺」が、この磯野製麺なのだそうで、「まぁまぁ」だとか。
どうやら、広島人は、そばよりもうどんが好みなようです。
街を車で走っていても、お好み焼き屋を沢山見かけるワケですが、この店は?と地元民に尋ねると答えが面白いです。
「ガチャガチャ音ばっかり立てて、なかなかお好み焼きが出てこない」
「キャベツを蒸しすぎてシャキシャキ感がない」
など、なかなかのこだわりの答えが返ってきます。
「お好み焼きは小さい頃から、店で鉄板の前で焼いているのをかぶりつきで見てるから誰でも焼ける」
とかお好み焼きに対する話が面白すぎます。
広島県人のお好み焼きへの拘りは、大阪人よりも凄いのかもと思った一日でした。
でも、広島の友人曰く、子供の頃にはお好み焼きにマヨネーズという記憶はなかったとか。
多分「大阪辺りに行って、マヨネーズも結構美味い」と真似したんじゃろとのこと。
その代わりにケチャップつける店は多いとか、今回は初めて胡椒を振る様子をみて驚きました。
広島駅 新幹線名店街 高砂○(たかさごまる)
広島の名産の一つ、牡蠣。その牡蠣を名物として出すお店の一つがたかさごまるです。高砂○と書いて高砂丸です。新幹線の駅からアクセスは抜群。
お好み焼きと牡蠣という広島グルメを一変に味わう事の出来るお店ということで、我々観光客には利用しやすいのかもと思います。
画像は肉玉ネギかけ焼きです。
お好み焼き・鉄板焼き 福ちゃん
市内には何店舗があるお店の駅前店になるようです。
画像をご覧の通り、カープソースが一押しなお店。
味も私のクチにあうお店、駅前で食べる際には福ちゃんと決めています。
よっちゃん 駅ビル店
駅ビルのお好み焼き街にあるお店、よっちゃん。
駅からのアクセスが良く、「ちょっとお好み焼きを食べてから」「お好み焼きを食べて帰る」と、気軽に利用できるのが魅力でしょう。
画像のよっちゃんも、普通に美味しかったと思いますが、界隈のお店は平日であっても、特にお昼時などは軒並み大行列。
忙しいからか店員さんにはずさんな対応されて、良い気分で食べることが出来ないお店に何度も当たってるので、界隈には近寄ることが無くなってしまいました。
宮島のお好み焼きももちゃん
時折参拝する宮島の厳島神社。
フェリー乗り場から厳島神社へと向かう表参道商店街の中のお店、ももちゃんです。
広島焼き、広島のお好み焼きを食べさせる店は何件かありますが、お気に入りの店がももちゃんです。繁盛ぶりがなかなかなのは、場所柄だからというだけでは無いと思ってます。
お好み焼き以外にも、ちくわや焼かきなど、広島の瀬戸内の海の幸らしいグルメが揃っています。
そして、好きな人にはたまらないと思います、牡蠣入りのお好み焼き。
特に週末の昼時間は行列必至です。近頃の大阪のお好み焼きには無いボリュームがたまりません、旅気分が満喫出来ると思いますよ。
広島 おこのみ村
そして、行ってきました「お好み村」!
ビルが全部おこのみ焼きの様は、なかなか圧巻で、2階から4階まで27店舗が営業しています。
一生かかっても、私などおっさんには回りきれないのは確実。
そう言い切るのは、広島の友人たちは皆
「あんな店は観光客が行く店じゃけー」と鼻で笑うからです。
「だったら連れてってやる」となると、
彼ら普段食べている店に足を運べば、お好み村に行く時間の余裕も胃袋の余裕もありません。
確かに、私らも◯◯でたこ焼きを食べた、などと聞けば、同じことを言うのでそういう感覚は凄く判ります。
戦後間もなく出来た屋台が、お好み村のルーツだという話で、ラーメンなども当時はあったものの、安くて栄養価の高いお好み焼きが大人気で現在に至るということ。
お好み村では、サンフーズのミツワソースが公認ソースで、2軒となりのビル、お好み共和国はオタフクソースが公認ソースなんだそう。
頑張れ、私の一押しカープソース。
広島のお好み焼きビル
既に紹介した「お好み村」以外にも、広島にはお好み焼き店が集まるビルがあります。
「お好み共和国」「お好み物語駅前ひろば」それに、広島駅の南口ビルの2階のフロアにも、お好み焼き店が8軒あるフロアがあります。
我らが大阪にも、おこのみ焼きビル、たこ焼きビルはありません。
やっぱりお好み焼きは広島だという説にはずみが付きますね。
以前、出張の際の広島駅で、お好み焼きをいただいたことが何度もありますが、
その時の店の印象が悪すぎて、お好み焼きに近付かなくなったために、こうして、広島のお好み焼きを知るのが遅すぎたのだなと思った今回の広島でした。
お好み焼きと鉄板焼き 五エ門
広島県内で、空港やショッピングモールなどに十店舗以上の店がある「お好み焼きと鉄板焼き うまいもん屋 五エ門」です。
鉄板焼きにお好み焼きと、気軽に楽しめる場所にあるのが良し。
画像は広島満月焼き。イカ天に肉、玉子、生卵が入った豪華版。
全部のメニューはメインの鉄板で焼かれてから各テーブルに運ばれてきます。
個人的な意見ですが、ここのお店はお好み焼きよりも焼きそばかなという感想。
爽快レモン焼きそば。レモンの風味がさっぱりしてて美味しくて、調味料など買って帰って、ドハマリ中の味です。
広島のおこのみ焼きソース
広島にいかにお好み焼きが根付いているのか?
という答えの一つにお好み焼きソースの豊富さがあげられるのは間違いありません。
スーパーに行くとご覧の通り、これまでは本場だと思っていた大阪でも見たことのないほどにソースのコーナーが充実しているのです。
ちなみに画像はほんの一部で、上下左右に同じようにソースが並んでいる様は実に圧巻です。
聞けば、広島県の一世帯辺りのソースの消費量は日本一だというから、もうお好み焼きは広島だと認めずにはおれません。
その中でも、トップスリーのソースが以下に紹介する三つのブランドです。
オタフクソース
広島県だけではなく、全国を見渡しても知名度はナンバーワンだというのがオタフクソースです。
営業努力の賜物だと広島な友人たちの自慢です。
広島のスーパーでも、地元ですからある意味当たり前でしょうがオタフクソースの占める割合はかなりのもので、画像の用に、専門コーナーを設け、一等地をキープして販売しています。
約20種類の香辛料をブレンド、野菜に果実、果実はトマト、玉ねぎ、りんんごにデーツなどが入った塩分控えめのまろやかなフルーティで味わい深いソースが人気の秘密。
オタフクソースは大阪のスーパーでも売っているのを結構見かけますから、他のソースと比べると入手は容易です。
オタフクソースが全国区なソースであると示すに、なんと大阪の本町には、オタフクソースのアンテナショップがあります。その名も「OKONA」
もちろんソースはオタフクソースだけれど、豚玉を注文したのですが広島のお好み焼きとは違うお好みが出てきて、少々がっかりしたのは本当です。
画像は豚平焼き。とん平焼きも大阪のメニューじゃないでしょうか?
やっぱりオタフクソースは広島のお好み焼きで味わいたいなと思うのです。
広島バージョンのお好み焼きにするべきだと声を大にして言っておきます。
ミツワソース
お好み村で公認ソースとして使われているのがこのミツワソースです。
同じソースが名前違いでヒガシマルソースとしても販売されています。
薄口醤油で有名なヒガシマル醤油と何か関係があるのか?
と思ったものの、何の資本提携も無いとのこと。
カープソースが香辛料キツめのという表現をしますが
ミツワソースの方がピリっとした味わいじゃないでしょうか。
カープソース
少し辛めの更新料たっぷりのソース、私が一番の好みのソースがこのカープソースです。
カープソースを使っている店だと私はニヤリとしてしまうのでした。
カープソースもミツワソースも、大阪のスーパーでは見かけることは先ず無いので、広島土産として自宅に持ち帰るのはこういうのが一番喜んで貰えます。
とは言え、今はネットで注文すれば簡単に購入できてしまうのが複雑ですが。
その他の広島ソース
他にも美味しいソースは色々あります。
化学調味料や着色料などは一切使っていない自然塩と天然水、提携農家より取り寄せた新鮮な野菜と野菜を使った
「広島ぢゃけんソース」などは間違いなくおススメなのですが、地元でもふらっと入ったスーパーでは売ってない逸品です。
Amazonで買えたりするのが複雑な気分です。
大阪のおこのみ焼きとの違い
舌が広島焼きを味わって覚えている間に、大阪のお好み焼きを味わっておこうということで、
家に帰るまでにお好み焼きを食べに、コテコテのこれぞ大阪という、某商店街へと出かけました。
明らかに違う大阪と広島、二つの地域のお好み焼きを食べ、どちらが美味いとはいい難いとは思うものの、着飾ったちっちゃな大阪のお好み焼きが残念。
大阪のお好み焼きは、お好み焼きの本質からは、外れてしまっているのでは無いか、と思ってしまったのでした。